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性癖的な映像。思考のDEEP DIVE, Gorilla Step MV

YP2020/12/30

自分のために書いてる備忘録です。
読み物としてのわかりやすさは無いです。
まだ書いてる途中です。定期的にアップデートします。



今作はGorilla Attackの前作である隔世GorillaのMVを制作中にオファーをもらった作品。
こちらは解像度が高い映像でフォトリアルなルックを醸している。
 



MVとは楽曲の世界観、更にアーティストの世界観を拡張するために存在しているので自分が連続で2本製作するに当たって最善の結果に繋がるように企画を考え始めたのがスタートだった。

前作の粒子が細かくマテリアルがリッチな質感からなるべく対極に着地させたいと考えていたので土台はモノクロで行くルールを決めた。

クライアント用にプレゼンボードも作ったが「作りながら最善のアウトプットを研究します」という文言を添えたデンジャーなシートになった。
これはクライアントとの信頼関係の貯金を切り崩したに過ぎないし過程として美しくないので、次からは企画段階で終点まで描けるように思考を深めていきたい。



それからは、二次元的な表現に拘ってCGチームのヒガシノ君を筆頭にリファレンスを集めて構成要素を議論した。

この段階ではまだ何でもアリの思考土台なのでソリッドにするためにテーマを決めた。

1・デザインで映像を構成する
2・STEP(階段)を拡張する
3・DEEP DIVE(ZONeのテーマ)の再解釈と再提案



【デザインで映像を構成する】

これに関しては私の性癖で、嗜好性である。(好きな言葉ではないが作家性と呼ばれる部分にも当たる)

平面的なデザインというよりも空間のデザインであったり構造物での視覚的なデザインに興奮するので、そういった作品を積み上げれる機会を嬉しく思う。

【STEP(階段)を拡張する】

Gorilla Step→STEP→階段という安易な発想だが(本来はダンスのステップの意味)3のDEEP DIVEというキーワードとも親和性が高いと判断したのでテーマに設定した。

何となくゾーンって一つ一つ階段を丁寧に降りていった先にあるイメージがあるので。


(踏むとゾーンに入れる階段の絵コンテ)

(実際にMVで実装されたカット)

【DEEP DIVE(ZONeのテーマ)の再解釈と再提案】

ここに来て今更だがエナジードリンクZONeのタイアップ曲でもあったので、精神としてのDEEP DIVEと、存在としてのDEEP DIVE(至高の存在)への昇格を目指す概念としてのGorilla Stepが3つのテーマによって完成したのではないかと振り返って思う。


(精神を溶かして深く潜るシーン)

MVに実装していく過程


今作はヒガシノ君ミハシNAKAKEN氏のCGチームで組み上げた。

ヒガシノ君は主にサビの図形の実験


ミハシは主に精神世界の階段の表現


NAKAKEN氏は主にラスサビの精神の跳躍と至高の存在になり得たゴリラたちの表現


今作においては絵コンテを用意したシーンは5、6シーンくらいしかなくて、それ以外は要素を机上の空論して、その机に落ちていったパーツを並べてどう組み合わせて遊べるかみたいな拡張の仕方がメインだった。

よなよな作業画面を共有しながらチームとデザインの可能性を追求していく作業は本当に楽しい。映像やっててよかったーと思う。


(NAKAKEN氏の作業画面)


(NAKAKEN氏、ラスサビの空間を作っているところ)

階段をモチーフに表現の実験を繰り返しながら、デザインを作り曲に合わせて表現をはめていった。ピースの形が決まってないパズルをピースから作っていくような作業だった。
でもフレームの設計はしてるのでチームから出てくる表現はフレームに沿ったアウトプットばかりで本当に頼りになった。本当にいつもありがとう。

他の好きなシーン図解



ラスザビ終わりに交わらない無限階段を歩き続ける2人。

階段は人生を表していて、他の誰かではなく自らの足でひたすら上に上に歩みを進めるストイックなゴリラを表している。
彼らの背景に流れる映像は時の流れを表していて、過ぎ去る時間が常に過去に流れながら前に進む2人を表現した。


開幕のZONeを貫いて思考の溝に落ちていくバナナ

映画のOPでロゴムービーがアレンジされてる、アレ。アレが好きでアレンジしたいなと思ってバナナが突き抜けて始める展開にした。表現はNAKAKEN氏。流石です。


エッシャーの作品を元にした4次元的な動画の挑戦

これはエッシャーの「別世界」のオマージュで、DEEP DIVEを重ねてゾーンに入った彼らは次元を超越した結果、どこにでも行ける自由を手に入れたというストーリーが表現されてます。構造物に視点をアレンジするだけでこれほどの意味が出るの単純に凄すぎる。



他にも好きなシーンや語りたい事はあるが、とりあえずここまでにして作業に戻ります。
2020.01.01 21:02